執行役員制度の導入段階で決定すべき事項

執行役員制度の導入段階では、主に以下の3項目を検討する。


1.主要経営機構再編・執行役員制度導入の目的の明確化

執行役員制度の導入段階においては、まず、主要経営機構改革・執行役員制度導入の目的の明確化を行うことが必要である。本質的には「取締役会の活性化」が目的となる。単なる取締役の減員と形式的な執行役員の配置は意味がない。


2.経営機構の具体的再編成と執行役員の位置付けの検討

取締役会の位置付け及び人数につき、経営機構改革の目的を達成するためにどのような再編成を行えばよいかを、実態をふまえて具体的に検討する。執行役員の権限は、法律上定まるものではなく、職務分掌規程等で定まることになるので、職務については具体的に規定する。また、その数も、経営機構改革の目的を達成するために必要かつ十分な人数を決定する。尚、執行役員の就任パターンは以下の3つに大別される。

A:会社の従業員が、従業員としての地位を喪失せずに(執行役員への就任が退職事由とはならずに)執行役員に就任する。

B:会社の取締役が、退任した上で、執行役員に就任する。

C:会社の取締役が、取締役としての地位を保持したまま、執行役員に就任する(取締役兼務執行役員)。
 
ここで最大の問題となるのは「取締役と兼務するのかしないのか」であるが、制度導入の目的、諸事情に照らして選択することとなる。尚、取締役が執行役員と兼務することは違法ではない。
(参考:執行役員の類型と導入企業の状況


3.各規程の整備、候補者の選考

執行役員制度導入にあたっては、定款、取締役会規程、監査役会規程、職務分掌規程及び就業規程等の改訂、並びに、執行役員規程、契約書及び就任承諾書等の作成が必要である。また、候補者の選考を行う際は、経営全体の方向性を考える取締役と、具体的業務執行を担当する執行役員では、求められる人材が異なることを考慮する必要がある。